読書感想:『香木のきほん図鑑』
祝日ですね。
祝日といえば本を読みますね。
ということで読書の感想を書きます。
今日読んだのは『香木のきほん図鑑』 (山田英夫 著)
香木ってのは、凄くざっくり説明すると「その香りによって価値が決まる、木材やその他植物由来の物質(香材)」のこと。
代表的なものには伽羅(きゃら)・沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)なんかがある。
本の内容としては、香木の簡単な説明と図鑑形式の色んな香木紹介。それと香木を楽しむための道具の紹介も少し。
正直香木なんて今まで全く知らなかったけど、元々図鑑が好きなのと、100ページもない薄い本だったので試しに読んでみたんだけど、これが結構面白かった。
「香り」を記述することの難しさ
まず面白いなーと思ったのは、「香り」を表現することの難しさ。記録として残しておくことの難しさ。
香木を楽しむ習慣は仏教伝来の時代から始まっていて、かなりの歴史がある。
なので当然昔の人々の香木の香りについての記述もいっぱいあるんだけど、正直読んでも「あー、ああいう香りね」って全然ならない…
例えば「甘い香り」って言ってもその種類なんて無数にあるし、もっと言えば「貴(あて)なる香り」とか「心異なる香り」とか、1ミリも理解できない。
今だとその香りを科学的に記述することで客観的な記録として残すこともできると思うけど、昔は滅茶苦茶主観的な言葉でしか記録を残せなかったってのが、当たり前だけど面白いなって思った。
言葉の不完全さっていうか、限界っていうか、そういうのを感じた。
嗅覚をメインに使う趣味を持つのも面白そう
もう一つ、香木を使用した香道と呼ばれる芸道があるのも初めて知った。
それを知って初めて気づいたんだけど、自分は嗅覚をメインに使う趣味を持っていない。
これを機に、何か香りを楽しむ系の趣味を持ってみるのも面白そうだなーって思った。
何だろ…香道以外だと…例えば…香水、とか…?
珈琲や紅茶、料理なんかも香りを楽しめるけど、嗅覚がメインってわけじゃないよね…
あれ、そう考えると嗅覚メインの趣味ってかなり少ない?
ま、いいや。新しい趣味を探す時のためにこの切り口は覚えておこう。
中国語と日本語の差が日本における香木に神秘性を与えた
あと面白いなーと思ったのは、中国から日本に香木が伝わった際のエピソード。
中国では香りをかぐことを一般に「闻」って書くんだけど、日本人からすると「香りを聞く」って表現に馴染みがない。香木と同じタイミングで伝わったこの「香りを聞く」って表現の不思議さが、日本人にとっての香木を神秘的なものにした可能性がある、ってもの。
そしてこの影響で、香道において香木の香りを楽しむことを聞香(もんこう)というようになった、っていうね。
こういうの、結構ありそう。
こういうの、個人的には面白いと思う。